【人を大切にする経営学コース】第5講を開催しました

とちぎ経営人財塾第6期のスタートから通算で10回目の講義となる「人を大切にする経営学コース」第5講の日を迎えました。受講生26名(欠席者7名)での開催となりました。
本コース第5講は、法政大学経営大学院 イノベーション・マネジメント研究科教授 小川 孔輔 氏 を講師にお招きし、「ポストコロナにおける地域企業のマーケティング手法とその実践」というテーマで開講いたしました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: グループ-2100-1024x351.jpg

第1部の前半では、コロナ禍で加速した社会変化について消費行動と環境の視点から学びました。
コロナ禍で私達の消費行動は、不特定多数との接触を避けるためなるべく近い範囲で消費をする、というように変わりました。そのため、地元との関係性を持つ企業や多角的に経営する企業が強くなります。また、既存の流通経路が破壊されたことで、自社で流通経路を持つ企業がこれから一層強くなることを学びました。
ロールモデルとなる事例企業を3つご紹介いただき、受講生は熱心にポストコロナにおける強い企業のあり方を学んでいました。

後半では、環境変化への対応という視点から、衣料品チェーンストアを展開する株式会社しまむらとスーパーマーケットチェーンである株式会社ヤオコーの戦略の違いを学びました。
同じ町から生まれた2大小売チェーンが、共通する環境変化を異なった戦略で乗り越えてきたことは、受講生にとって非常に印象的な学びとなりました。

より詳細な内容は小川先生の著書『しまむらとヤオコー』で知ることができるとご紹介いただきました。

第2部では、3つの企業事例について学びました。
1つ目は、業界のガラスの天井と言われていた売上高を突破し、超成熟市場を変えた企業です。発想の転換を行い新たな市場を開拓したこと、自動化・情報流通に対応するシステムを構築することで、業界の常識に挑戦する企業としてご紹介いただきました。

2つ目は、ダイバーシティー経営を実践する企業です。「違うことを受け入れる」「違うことを主張する」の見える化を会社がやるべきこととして定めており、結果としてLGBTQなどセクシャルマイノリティに関する取り組み評価指数「PRIDE指標」において、最高評価である「ゴールド」を受賞しています。実践の根底にある経営理念からご紹介いただきました。また当企業においては、業態カテゴリーと客単価をかけ合わせたマルチブランド戦略と、既成概念の破壊をすることで差別化要因とする戦略が非常に特徴的でした。

3つ目は、応援したい企業です。この企業は、自社の商品・サービスに対して競合ブランドが持っていない優れた特徴を有しています、それは、応援してもらう力と進化です。知的障害者の自立支援活動の場として創業したというストーリー性と、妥協のない製品づくり、そして思いを込めた商品のネーミングがこれらを裏付けています。

小川先生のアシスタントさんが、年末にスーパーで「(事例企業)の商品はありますか?」と聞いたところ、そこにいるお客さんも事例企業の応援者だったというエピソードが非常に印象的でした。小川先生ご自身も年賀で事例企業の製品をいただいたそうです。非常にたくさんの方に応援されていることが伝わってきました。

それぞれが違う強みを持った企業の取り組みをご紹介いただき、経営に活かすヒントをいただいたように思います。

第3部では、受講生のうち6名の企業をそれぞれサンプルとし、2つの課題から1つを選んでサンプル企業を分析するグループワークを行いました。
3つのグループは、コロナ禍の環境変化を整理して、経営資源(強み)を生かしていかにピンチをチャンスに変え、そのチャンスをどう活かせるかを考えました。
残りのグループは、第2部で学んだ3つの企業像を基に、現在となりたい企業像との差を明確にし、その差を埋めるために必要なアクションを考えました。

全体発表ではどのグループも深く考察された内容を基に具体的な取り組みまで言及されており、講師の小川先生のコメントも相まってサンプル企業の分析がかなり深まっていたように思います。今まさに会社の方向性を再考しなくてはならないという状況下で、受講生同士が真剣に、サンプル企業の今後のあり方を話し合うことができ非常に学びのあるグループワークとなりました。

懇親会では、総美有限会社様に会社紹介をしていただきました。自社の独自の取り組みをご紹介いただき、非常に活気ある懇親会となりました。

今後一層、懇親会での交流を深めていきたいと思います。